【発達凸凹】パニック時どうする?なにもしなくていい⁉意外な対応方法

自閉症スペクトラムのお子さんと関わる中で一番目に見えて大変なシチュエーションが暴れてしまう、他害、自傷などがある『パニック行動』
保護者さん、支援員さんから「パニックが起こってしまったときの対応策を教えてください」とよくご相談されます。
本記事では自閉症の方の直接支援、相談を受けてきた社会福祉士わくふくが対応方法や注意点などをお伝えしたいと思います。

パニックとは

本人にとって耐えられない負担感があったときに、感情がコントロールできずに「問題」といわれる行動をしてしまうことを指します。
パニックになる原因はさまざまで、複数の要因が積み重なって起こることが多いです。


パニックの原因となる一例
・感覚過敏:外部的刺激を受けたとき(音、におい、光、痛みetc・・・)
(例)子供の声が苦手なのに、不意に外から子供の声が聞こえてきた。(聴覚過敏)
   
・見通しが持てない不安感
(例)予告なく自分が想定していない活動に参加させられる。

パニック時の行動一例
・大きな声で叫ぶ
・頭を壁に打ち付けたり、腕を噛むなどの自傷行為
・まわりの人に飛び掛かって、爪を立てたり、噛みつくなどの他害行為
・物を蹴ったり、投げたりなどの破壊行為

パニックが起きてしまった時の対応

多くの自閉症スペクトラムの特性をお子さんは、予測できない毎日の過ごしの中で大きな不安の中で生活しています。
そのため環境を整え、パニックが起きないようにすることが大前提となります。

そのうえで
パニックが起きてしまってからできることは大きく一つだけと考えています。
それは「誤学習させないこと」

パニックが起きてしまったときには、悲しいですがまわりの方ができることあまりありません。
どんなにやさしく投げかけても、体を静止させようとしても、𠮟ってみても・・・。
パニックは大きくなってしまうだけだと思います。
「安全確保」(※本人もまわりも)をして、見守ってあげましょう。

そのうえで重要なことは上述した通り「誤学習させないこと」が必要になります。
誤学習とは:誤学習は間違った行動を正しい行動と誤って学習してしまうこと
パニックになって、過剰に反応してくれる、要求を通してくれるなど。
例えば
お菓子が欲しい子供がスーパーの中で泣き叫ぶことで困ったお母さんがお菓子を買い与えてしまう。
この場合”スーパーで泣き叫べばお菓子を買ってもらえる”が誤学習となってしまいます。

「誤学習させない」といっても具体的にどうすればいいかですが、答えはシンプルで何もしなくて大丈夫です。
「私はここにいるからね、落ち着いたらお話をしよう。」など、まずは落ち着くこと、そのあとの道筋を伝えてあげてください。
紙で書いて渡してあげることも視覚優位の方には有効です。

慌ててしまう(慌てていると思われてしまう)ことや怒ってしまうこと、言いなりになってしまうことは避けたいです。
特に言いなりになってしまうことは、その場はしのげても誤学習を作り上げ、後々もっと大きなトラブルになりかねません。

補足
ご自身は無意識のようですが、慌ててしまって口数が多くなってしまう支援者さんもよくお見掛けします。
「わかったわかったわかった。大丈夫だからね。嫌だったよね、わかるよ、どうしようか?」など寄り添ってあげたくてたくさんの言葉をかけてあげているようですが、
ご本人は情報処理ができずに混乱しているのでなるべく不要な情報は与えない方がよいでしょう、。
「そばにいるからね。あなたの味方だよ。」という態度と「大丈夫だよ」の一言でどしっと構えて待ってあげましょう。

お子さんが苦しそうにこちらに訴えているなか、上記対応は心が痛みます。
ASDのお子さんは特に特例も苦手です。
あの時はいいって言ったじゃん。となってしまいます。
要求を通すならパニック時ではなく落ち着いてから話し合いの中で通すようにしてあげましょう。
あくまで「パニックになったから」要求を通すことしないようにしていきたいです。

実際の事例

放課後等デイサービスに通うA君
運動のプログラムの時間にどうしても自分の持ってきたゲームをしたいとのこと。
支援員があれこれ工夫して「今は運動プログラムの時間」と伝えますが、納得できずパニックに。
大声で泣いて床に頭を打ちつける自傷行為をしてしまいました。

対応
今回のケースだと本人を動かすこと(個室に案内すること)が困難だったので、まわりに協力をしてもらってその場所でひとりの空間を作り、クールダウンしてもらうことにしました。
「支援者はここにいるから落ち着いたらお話しようね」と声かけをしました。
その間も床に頭を打ち付ける行為が見られたので、黙ってクッションとなるタオルを入れ、安全確保。

20分ほど時間が掛かりましたが、落ち着くことができてお話をしてくれました。
A君は今日は運動プログラムではなくてゲームができると思って通所してくれたとのこと。
(事前スケジュールができてないことを反省し、次回からA君とA君の保護者さんにその日の予定表を簡潔に伝えるように事業所内で統一しました。)
ゲームをしたい気持ちは認めながら、ゲームはいつの時間でできるか本人と考え、その時間にやってもらうように伝えました。

おさらい
①に安全確保
まわりに危険なものがないか。
本人に移動してもらうことが難しかったらまわりの方に理解してもらう。

②落ち着くまで待つ。

③落ち着いて話ができたら最大限評価。
解決策を本人と一緒に考える。できれば本人から答えが出るように導き出す。

まとめ

自閉症スペクトラムの特性をお子さんは、予測できない毎日の過ごしの中で大きな不安の中で生活しています。
まずは落ち着いて生活できるように安心できる環境を整えましょう。
パニックが起きてしまってからはできることは一つだけ。
「誤学習を生まない対応をする」
それだけ心がけて、気持ちだけ寄り添いましょう。
まわりからはほっといて見えるかもしれませんが、しっかり気持ちを向き合っていればご本人さんにも伝わります。

凸凹があってもなくてもみんなが明るく過ごせる未来でありますように。

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