【でこぼこぽん!から学ぶ】予定変更が苦手な人の対応策(発達障害)

障害分野で相談支援専門員(社会福祉士)をしていると
「急な予定変更をすると癇癪やパニックを起こしてしまう」という相談をよくお聞きします。
まわりからすると「そんなことで?」と感じてしまいますが、本人にとっては一大事。
中には自傷行為(自分を傷つけてしまう行為)、他害行為(人をたたいたり嚙みついてしまったり)まで起こしてしまう方までいらっしゃいます。

本記事ではEテレ「でこぼこポン!」の放送を参考に、急な予定変更に対応できる本人の力のつけ方、対応方法などをお伝えします。

でこぼこポン!のあらすじ

「もしかして」とつきあう発明品 でこぼこポン! NHK for School

「もしかして」とつきあう発明品 | でこぼこポン! | NHK for School
今回は「予定の変更が苦手」な子をサポートする。歌にあわせて、もしかして起こるかもしれないことを事前にシミュレーションする。

原っぱでお絵描きをするためにお出かけの準備をしているぼこすけ。
しかし、でこりんから「急に雨が降ってきた」ことを教えてもらいました。
予定が崩れてしまったぼこすけは「えーっ、どうしよう?!」パニックになってしまいます。

「ぼこすけは自分で考えていなかったことが起きると頭の中がこんがらがってしまうんだね」とポン。
するとでこりんが、「ぼこすけ、今度、となり町のおばあちゃんちに行くって言ってたよね。なれない場所に行くわけだし、思いもよらないことがいろいろ起きるんじゃない?」と言います。
急に不安になるぼこすけ。「前もって、もしかしたらこんなことが起きるかもって考えておくといいかもよ」とポン。
それを聞いて、でこりんが発明品を作ってくれることに。

でこりんの発明品“もしかして♪幸子さん”
「♪もしかして もしかして」のリズムに合わせて起こりえる不測の事態を考えておくことに。

もしかして 電車に乗り遅れてしまうかも。
もしかして 目的地に到着するまでにおなかがすいてしまうかも。
もしかして おばあちゃんの家におやつのおかしがないかも。
もしかして 夜にねむれないかも。
もしかして キライな食べ物出てくるかも。

「いい? 人生は『もしかして』ばっかりなのよ。だからあらゆる可能性を考えておくの。わかった?」と言いました。
「ありがとう、幸子さん!」。

なぜ「急な予定変更」が苦手なの?
発達に凸凹がある方は規則性のある生活を好む人が多いと言われています。
・毎日決まったものを食べたい。
・決まった洋服を着たい。
・〇曜日は部屋からごみ収集車を見送ってから家を出たい。などなど

まわりのひとからは”こだわり”とみられてしまいますが、本人にとってこの不規則の世の中で安心材料を作っているのだと思います。
だからこそその安心材料が崩れてしまうととてつもない不安感が襲ってきます。
まわりからすると「そんなこと?」と思うことでも、ご本人からすると暗闇の中の唯一の光を奪われてしまう感覚なのかもしれません。
またそれはその日の気持ちの余裕だったり、睡眠量、おなかの空き具合、学校での出来事など他の要因と絡み合い、違う形で出現します。
「この前は大丈夫だったじゃん。それはただのわがままでしょ?」となおさらまわりの人からすると理解が難しいかもしれません。

実際のケース
支援学級に通う小学2年生の男の子
宿題を済ました後、17:30~18:00の30分間、YouTubeで大好きな動画を見る約束をしました。
約束通り宿題を済まし、動画を見ようとするとネットが重くなかなかつながりません。
その後10分後にネット環境は改善し、動画を見られる状況になりましたが、残り20分しかないことに納得できずパニックに。
見れなかった時間分を延長し、18:10までにしようと提案しますが、最初の約束が18:00までだったので納得できないようでした。

結果
この方のケースも事前に「〇〇だったらどうする?」をしていたので、自分で「動画はやめて絵を描く!」と選択することができました。

「急な予定変更」への対応策
今回のケースからもあった通り、やはり事前に「もしかして・・・〇〇だったらどうする?」考えておくことで「予期せぬ状況」を減らしていくことが大切になります。
またその「どうする?」は指示的ではなく、自己発信、自己選択したものが有効です。
もちろん自分で考えるのが難しい場合は答えを出すサポートをしてあげてください。しかし最終的に「自分で決めたこと」にするようにしてください。
かといってもすべてのシチュエーションで事前に考えておくことは難しいです。
そんなときには「思い通りにならなかったときはどうする?」と大きな枠で考えておくようにしましょう。
深呼吸をする、お守りをさわる、もやもやした気持ちを文章に起こしてみるなど。

速攻性がある話ではないかもしれませんが、繰り返し続けていくことで本人も「予期せぬこと」に見通しが持てるようになってくると思います。

まとめ
・予定変更に対応できないのはわがままではなく”とても不安だから”
見通しがついていると安心できます。なるべく視覚化してあげることでさらにイメージがつきやすくなります。
・不安感も変更の許容度もその日によって違う。
 いろんな要因が絡み合って爆発してしまっている。そのきっかけが「予定変更」になってしまっている。

【対応策】
予期せぬことが起こりづらいように事前に一緒に考えていく。

凸凹があってもなくてもみんなが明るく過ごせる未来でありますように。

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